環境と新冷媒 国際シンポジウム2018
~ 冷凍空調機器の環境・新冷媒・省エネに対応し21世紀をリードする最新テクノロジー ~

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No.661 2019年2月

2018年12月6日(木)~7日(金)、当工業会が主催する「環境と新冷媒 国際シンポジウム2018」(通称:神戸シンポ)を、神戸国際会議場で開催いたしましたのでご報告いたします。1994年12月に第1回を開催して以来、今回で13回目を迎えました。(写真1)。


過去の国際シンポジウム記事はこちらから

■2016年12月1日(Day1)2日(Day2)




写真1:神戸国際会議場メインホール



《第13回神戸シンポの概要》
◎1日目(2018年12月6日)
開会~基調講演
開会式では高木会長から主催者の挨拶を行い、続いて一般財団法人神戸市観光局
専務理事 小村正俊様から歓迎の挨拶をいただいた(写真2、3)。



写真2:高木会長




写真3:一般財団法人神戸市観光局 専務理事 小村正俊様



基調講演は、岡田専務理事より「神戸シンポの歴史と冷凍空調業界が直面する課題と今後の対応」というタイトルで、神戸シンポの概要と現在の国際的な冷凍空調業界の課題と見通しについて説明を行った(写真4、5)。




写真4:岡田専務理事



写真5:岡田専務プレゼン資料より



セッション1:環境
司会:水野 尚夫(三菱重工サーマルシステムズ)
   大谷 尚史(サンデン・アドバンステクノロジー)

セッション1では5件のプレゼンテーションが発表された(写真6)。
セッション1-1は、経済産業省 製造産業局 化学物質管理課 小菅課長補佐より、オゾン層保護法の改正の概要に関する説明が行われた。

今回はEPEEからMihai Scumpieru氏とEls Baert氏が参加し、欧州Fガス規則の実施とHFCの段階的削減や欧州におけるエコデザインと安全基準の最新情報に関する話が行われた。

AHRIからは、Xudong Wang氏から可燃性冷媒に関するAHRIの研究状況に関する話が行われた。

中国CRAAからは、Jingliang Chen氏よりキガリ改正後の中国冷凍空調業界における規格開発および改訂の最新情報に関する話があった。




写真6:環境セッションスピーカー



ポスターセッション プレゼンテーション
司会:平良 繁治(ダイキン工業)
同会場内で開催しているポスター展示内容について、それぞれ1分間のスピーチタイムを設定した(写真7)。





写真7:1分間スピーチの状況



セッション2:新冷媒(機器メーカ)1
司会:平良 繁治(ダイキン工業)
   山下 浩司(三菱電機)

齋藤潔氏(早稲田大学)、馬場敦史氏(東芝キヤリア)、池田宗史氏(三菱電機)、川瀨信義氏(日立ジョンソンコントロールズ空調)から各所属における最新の研究状況に関する講演が行われた。

セッション3:新冷媒(機器メーカ)2
司会:平良 繁治(ダイキン工業)
   山下 浩司(三菱電機)

有井悠介氏(三菱電機)、赤塚 啓氏(三菱重工サーマルシステムズ)、
Stephen A Kujak氏(Ingersoll Rand - Trane),杉村実氏(ダイキン工業)から新冷媒を用いた機器開発の状況等に関する講演が行われた。

セッション4:冷媒の安全性・リスクアセスメント1
司会:山口 広一(東芝キヤリア)
   野中 正之(日立ジョンソンコントロールズ空調)

今年度からNEDO研究「省エネ化・低温室効果を達成できる次世代冷凍空調技術の最適化及び評価手法の開発/次世代冷媒に係る安全性・リスク評価に関する検討」が始まった。この中で、次世代冷媒の安全性・リスク評価研究を行うこととなり、東京大学・公立諏訪東京理科大学・独立行政法人産業技術総合研究所(AIST)から研究状況報告が行われた。

本セッションの冒頭は、以前のA2L冷媒の安全性リスク評価を取りまとめた飛原英治氏(東京大学)から、燃焼性冷媒(A2L,A3)の安全性とリスク評価の方向性に関する説明が行われた。

続いて、滝澤賢二氏(AIST)から混合冷媒での燃焼特性に与える影響評価、今村友彦氏(公立諏訪東京理科大学)から自然冷媒を採用した家庭用空調機のフィジカルハザードアセスメント、椎名拡海氏(AIST)から実使用時のフィジカルハザード評価に関する話が行われた。(写真8)



写真8:冷媒の安全性・リスクアセスメント1 スピーカー



セッション5:冷媒の安全性・リスクアセスメント2
司会:山口 広一(東芝キヤリア)
   野中 正之(日立ジョンソンコントロールズ)

このセッションでは、当工業会でこれまで検討を行ったA2L冷媒使用設備用エアコンのリスク評価結果(設備用リスクアセスメントSWG 中本正彦主査(三菱重工サーマルシステムズ))、IEC60335-2-40における可燃性冷媒の規制緩和に係る議論の状況説明(冷媒関連国際規格提案検討WG 橋本均氏(ダイキン工業))、さらには、検討を始めたA3冷媒を使用したミニスプリットエアコン(ミニスプリットリスクアセスメントWG3 高市健二主査(パナソニック))及び内蔵形ショーケース(内蔵ショーケースリスクアセスメントWG3 坂本圭久主査(サンデンRS))のリスクアセスメントの状況に関する報告を行った。(写真9)



写真9:冷媒の安全性・リスクアセスメント2 スピーカー



レセプション
18時20分より、ポートピアホテル偕楽の間にてレセプションを開催した。
公益社団法人日本冷凍空調学会香川会長から挨拶が行われ、岡田専務理事
より乾杯の発声を行いレセプションがスタートした。参加者は、リラックスした雰囲気で懇親を深めた(写真10、11)。



写真10:公益社団法人日本冷凍空調学会香川会長



写真11:レセプション歓談風景


◎2日目(2018年12月7日)
セッション6:圧縮機・潤滑油 1
司会:鶸田 晃(パナソニック)
   大城戸 武(JXTGエネルギー)

池辺浩樹氏(ダイキン工業)、Weihua Guo氏(Emerson Climate)、山下拓馬氏
(三菱重工業)、Oliver Javerschek氏(BITZER Kuehlmaschinenbau GmbH)、
石田貴規氏(パナソニック)、井戸 慎一郎氏(三菱電機)から各社での圧縮機に関わる最新技術の紹介を行った。

セッション7:圧縮機・潤滑油 2
司会:鶸田 晃(パナソニック)
   大城戸 武(JXTGエネルギー)

庄野洋平氏(JXTGエネルギー)、松本知也氏(出光興産)、Joseph A Karnaz氏
(Shrieve Chemical)、Kane Liu 氏(CPI Fluid Engineering)から潤滑油関連の最新技術の紹介を行った。


セッション8:省エネルギー 1
司会:深野 修司(前川製作所)
   渡辺 丈(ダイキン工業)

木屋豊明氏(パナソニック)、木村健氏(前川製作所)、小林寛幸氏(デンソー)、
Harrison K Musyimi 氏(The Chemours Company)、小谷拓也氏
(ダイキン工業)、山本弘志氏(パナソニック)から省エネルギー関連の最新技術の紹介を行った。

セッション9:新冷媒(冷媒メーカ)
司会:谷口 雅巳(デンソー)
   早野 誠(富士通ゼネラル研究所)

最終セッションは、冷媒メーカを中心に新冷媒の研究状況等に関する講演が行われた。

スピーカーは次の通り。
東之弘氏(九州大学)、Joshua Hughes氏(The Chemours Company)、
福島正人氏(AGC)、有元眸氏(DAIKIN AMERICA)、Robert E Low氏
(Mexichem)、Sarah Kim氏とThomas A Lewandowski氏(Arkema)、
Ankit Sethi氏 (Honeywell International)。聴講者は熱心に聞き入り、多数の質問が出された。



閉会の挨拶
神戸シンポ運営分科会平良繁治主査(ダイキン工業)より閉会の挨拶が行われ、終了した。(写真12)



写真12:神戸シンポ運営分科会 平良主査



《テクニカル(オーラル)セッション以外のイベント》
JRAIA特設ポスタ―セッション
当工業会では7年前より、微燃性(A2L)冷媒~強燃焼性冷媒使用に関するリスクアセスメント安全対策等の検討を行っている。これまでの検討成果をポスターにまとめ展示を行った(写真13、14)。




写真13:JRAIA特設ポスターセッション風景1



写真14:JRAIA特設ポスターセッション風景2



ポスターセッション
開催期間中、同会議場ポスターセッションルームにおいて、15件のポスターを展示した。

PS102 高速フロンガス回収システム
現場で一番時間のかかるフロン回収作業を、低コストで回収時間を最大50%短縮
◯ 小川 慎太郎 (アサダ)

PS103 A2L冷媒R454B,R452B,R32対応スクロール圧縮機BITZER ORBIT
最新モーターによる最も効率の良いエコノマイザー機能の実現
◯RODRIGUEZ Ricardo, HAMMERSCHMIDT Matthias (BITZER Kühlmaschinenbau GmbH), SPANNAN Ferdinand (Bitzer Japan K.K.)

PS104 フロンガス回収率を向上させたR1234yfとR134a両用の新カーエアコン整備ツールの提案
◯ 樋上 一誠, 山嵜 憲二 (デンゲン)

PS105 冷凍空調機器分野におけるNEDOの低GWP冷媒適用技術開発プロジェクト
◯ 神戸 正純, 市川 直喜, 須澤 美香, 阿部 正道 (国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構) (写真15)

PS106 低GWP冷媒および自然冷媒に関する熱物性値の実験的評価
◯ 粥川 洋平, 狩野 祐也, 藤田 佳孝 (国立研究開発法人産業技術総合研究所)
(写真16)

PS108 HFO1123/HFC32混合冷媒の扁平多孔管内における凝縮熱伝達
◯ 地下 大輔, 菊池 省吾, 井上 順広 (東京海洋大学)

PS109 HFO系およびHCFO系冷媒の輸送性質測定の動向
◯ 宮良 明男, 仮屋 圭史, Alam Md Jahangir, 山口 晃太郎 (佐賀大学)

PS110 JRA GL-20:2016 に適合した特定不活性ガスR32の漏洩警報器について
◯ 三井 文彦 (FUSO)

PS111 冷媒漏えい防止技術向上の教育
◯ 坂口 正友, 大沢 勉 (一般社団法人日本冷凍空調設備工業連合会)

PS112 R32用定置型冷媒漏えい検知器
地球温暖化の原因となる特定不活性ガスの排出を抑制する技術
◯ 孟山 英起, 大西 正之 (イチネンTASCO)

PS113 非円形流路内垂直上昇気液二相流のボイド率特性
◯ 浅野 等, 村川 英樹, 杉本 勝美 (神戸大学)

PS114 CO2冷凍サイクルサービスツールに関して
超臨界流体シールの取組
◯ 諏訪 茂 (プロステップ)

PS115 氷蓄熱チラー向け大容量半密閉シングルスクリュー圧縮機の開発
◯ 後藤 英之, 森 一起, 宮村 治則, 松浦 秀樹 (ダイキン工業)

PS116 ポンプダウン時の事故における潤滑油添加剤の燃焼抑制効果
◯ 東 朋寛, 党 超鋲, 飛原 英治, 設楽 裕治 (東京大学)




写真15:NEDOのポスター



写真16:AISTのポスター



◎今回の来場者数
 合計:543名(前回比 ▲ 28名)

【内訳】
 国内参加者:463名(前回比 ▲ 31名)
 海外参加者: 80名(前回比 +3名)

【主な参加国(人数)】
 中国(28)、アメリカ(14)、韓国(10)、ベルギー(5)、タイ、ドイツ 等


以上
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